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第13回栃木CT研究会

文責  獨協医科大学病院  手塚 昭伍

平成30年5月19日(土)ホテルニューイタヤにて、「Dual Energy imagingの今、そして未来へ」というテーマで第13回栃木CT研究会が開催されました。Dual Energy imagingは約40年前から論文化されている技術で、技術の発展に伴って現在では広く臨床で用いられる技術となりました。現在では装置ごとに第一世代、第二世代といったように日々技術が進歩している分野であり、注目を集めています。

フレッシャーズコースでは「Dual Energy imagingの基礎」ということで、どのような手法でデータ取得を行うか、また取得したデータからどのような画像が作成できるのかについて解説していただきました。

特別講演Ⅰ「Definition Flashを利用した臨床応用」では、埼玉県立がんセンター 松本 智尋先生より、2管球方式でのDual Energy imagingについての基礎から、臨床応用について講演をいただきました。仮想単色X線画像の低keV画像を用いることで120kVpの画像に比べ、造影コントラストが向上し周囲の細血管やリンパ節が明瞭に描出可能であり、手術支援画像として非常に有効であると理解しました。

特別講演Ⅱ「腹部CT検査におけるDual Energy CT検査の基礎と臨床応用」では、岐阜大学医学部附属病院 三好 利治先生より、Fast kV Switching方式でのDual Energy imagingについて腹部CT検査における臨床応用について講演をいただきました。Dual Energy imagingではヨード密度画像の作成が可能となり、ヨード密度値というCT値とは異なった新たな概念であることから、読影医に画像特性について理解してもらうのに苦労されたとのことでした。また、仮想単色X線画像を用いることで大血管のCTA検査では使用する造影剤の濃度を1/3にできる可能性があると示唆されていました。

特別講演Ⅲ「IQon Spectral CT運用に際する基礎検討と臨床応用」では、熊本中央病院 本田 恵一先生より、Dual Layer方式でのDual Energy imagingについて、画像の物理評価から臨床応用について講演をいただきました。仮想単色X線画像の物理評価ではCatphanのデルリンを対象物質とした評価であり、120kVpの画像に比較してX-Y平面での空間分解能に変化はありませんでした。また、ノイズは低keVになるほど上昇していましたが、造影検査においてはコントラスト-ノイズ比が上昇するので仮想単色X線画像は有用であるとのことでした。実際に肝細胞癌の症例を提示していただきましたが、120kVpの画像では描出できないような淡い染まりでも仮想単色X線画像において明瞭に描出できていました。

Dual Energy CTの究極型としてフォトンカウンティングCTが考えられますが、それまでの過程としてDual Energy CTの今後の展開がとても楽しみになりました。

今回も133名と県内外から多数の方にご参加いただき大変うれしく思っております。
今後も皆様の期待にそえるよう邁進していく所存でございます。
最後になりますが、ご講演いただいた先生方に改めて深く感謝申し上げます。

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