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第12回栃木CT研究会

文責 足利赤十字病院 桐山 岳

平成29年5月20日(土)ホテルニューイタヤにて、第12回栃木CT研究会が開催されました。今回は「小児CT検査」~大人と同じ条件で大丈夫ですか~ということで、症例数自体は大人に比べて多くはないが、大人以上に被ばくを意識しなくてはならない小児に関する撮影条件や有用な疾患がメインテーマでした。

フレッシャーズコースの「こどもの特徴とは」では、3つのカテゴリーにまとめられた内容でした。子供の身体的特徴については、子供は大人のミニチュアではないということ、成長と生理作用について解説がありました。子供への対応については、コミュニケーション対象を子供だけでなく、保護者に対しても配慮することで信頼関係を構築する重要性を認識できました。子供の病態については、先天性疾患や虐待など特有の病態があることを考慮して画像診断に携わる必要があると感じました。

特別講演Ⅰ「小児CTにおける撮影条件設定の考え方」では、名古屋市立大学病院の坪倉 聡先生に講演いただきました。小児の撮影条件を決定する場合、大人の撮影条件(CT-AEC)を利用するのではなく、小児に最適化したプロトコールを構築する必要があることを学びました。具体的には、回転速度を速めても小児は大人に比べて回転中心に被写体が存在するためView数低下のデメリットが少ないこと、またファントムの検証結果により大人に比べてCT-AECの設定SDを低く設定する必要があることです。

特別講演Ⅱ「徹底解明!体形変化がCT画像に及ぼす影響」~ファントム評価と臨床画像の対比~では、東京慈恵会医科大学付属病院の庄司 友和先生に講演いただきました。冒頭の自己紹介で週1実験を目標に掲げている庄司先生の検証には説得力があり、非常に有意義な時間を過ごすことができました。講演の中にあった「プロトコールの見える化」ができるように、しっかりと裏付けのあるプロトコール作成を行っていきたいと思いました。
特別講演Ⅲ「でも、やっぱりCTが有用な疾患」では、獨協医科大学病院の桑島 成子先生に講演いただきました。小児のCT検査には被ばくというデメリットが存在します。そのデメリットよりもメリットのほうが上回った場合のみCT検査を行う必要があります。やはり小児のCT検査では国際放射線防護委員会(ALARA)を基本した最適化した撮影条件の設定が必要であると共に、実際の症例を交えながら診断から治療の過程と画像診断の関わりを講演して頂きました。

小児の検査は割合でいうとわずかな施設が多いと思いますが、だからこそ有事に備えたプロトコールの確立は重要だと思います。ただ、講演内容をそのまま適応するのではなく、講演内容を参考に自施設で検証を行い、十分理解したうえで採用することが大切であると考えます。
今回は130名と過去最大の参加者があり、栃木CT研究会の成長と認知度の広がりを実感いたしました。参加してよかった、今後の業務の参考になったと思ってもらえるように、今後も世話人一同企画、運営してまいりますので、どうぞよろしくお願いいたします。

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